c71は生きている

荒いまま思ったことをしがらみなく推敲しないで書く

夏の公園2

芝生には誰もいなくて、まだ風も涼しく、日差しもそれほどではなかった。

自動販売機で、子供のためになっちゃんを買ったら、もう飲みたいとジェスチャーする。「あ、あ」と言って、手を伸ばすので、ふたを取ると、くちばしのようにうわくちびるを伸ばして、一生懸命飲む。あごまであげなくてもいいのに。

ちょっとだけにしなよ、後で飲ませてあげるからと言ってとりあげようとしたら、ペタッと座り込んでストライキをした。

子供は、飲み物を飲むときには、ちゃんと座らないといけないのだ、と思っているらしい。それは、とてもかわいらしい。

仕方がないので、ペットボトルを支えながら一口一口飲ませる。嬉しそうに、くちばしを三角形にして飲んでいた。飲み終わると、口の周りに水滴がついていたので、タオルで拭いた。

 

三人とも麦わらをかぶっていた。影が、麦わら帽子の形に並んでいる。

水飲み場を見つけて、子供が駆け寄っていく。正確には、駆け寄るつもりで早歩きになった。一応走れるようになったとはいえ、まだ上手ではないので、早歩きになるだけのことも多い。でも、本人としては走っている。

 

水飲み場で、じっと背伸びをしてのぞき込むので、期待に応えて、蛇口をひねると、うれしそうに手を伸ばした。「んーんー」と言って飲みたがる。また飲むの?まあいいけど、と言いながら抱きかかえて、小さな噴水に掲げた。

柔らかくて熱い。おなかを持つと苦しいだろうとわきの下で支えていくと、顔やあごの下、服を濡らして、満足そうにしていた。

暑さですぐ乾くし、むしろそのほうが涼しいだろうと思って、下ろしてから、水を少しだけかけた。水がきらきらするので、喜んで、両手を広げていた。

 

芝生には、朝露が少しだけ残っていて、台風で折れた枝が落ちていた。まだしおれ切っていない葉っぱがついていた。

桜の木だろうかと、バラ科の葉だね、と言いあった。

子供は枝を拾って、ほうきのように掃いたり、振ったりした。

振るのがおもしろいのか、私にかざして、がさがさと腕にあててきたり、夫にぶつけたりしていた。

しばらく芝生の坂道や生垣の近くを探検していたけれど、他の親子がやってきてボールを蹴っており、混ぜてほしそうに子供が近寄るので、悪いと思って、森のほうへ歩いた。

子供は、木の枝を夫に渡して、今度は木の実を拾って投げた。

木の実がいっぱいあってうれしいねと声をかけた。

地面を、小さな手でワイパーのようにこすったり、小石をつまみ上げては、投げたりしてもいた。

三人で鬱蒼とした木の下をくぐって、砂利道を歩くと、蝉が落ちていた。

地べたでひっくり返ってバタバタと苦しんでいたから、助けようとしたら、何かオレンジ色のものがついていた。

蜂が蝉を襲っていた。

 

たぶん卵を産み付けていたんだろう。蜂も必死だ。かわいそうだね、厳しいねと言いながら、砂利道を歩いた。

 

 

ミンミン蝉のほかに、つくつくほうしも鳴いていて、盆を過ぎると秋が近づくというのは本当だな、毎年毎年、盆が過ぎさえすれば涼しくなると、人と話はするけれど、暑さで信じられなくても、やっぱり秋も冬も来るなあと思った。

テニスコートを通り過ぎる時、やっぱりおはようございます、と言った。

階段を見つけたので、子供は張り切って登ろうとした。急な階段だったので、土で滑らないように、私は手をつないで、夫は下から支えられるように待機して、三人で登って行った。上ったところは先ほどいた芝生だったので、また芝生を歩いてもいいなと思ったけれど、子供は後ろを向いてもう降りようとしていた。

子供は階段を上り下りすること自体が好きなのだ。

 

三人とも汗をかいたので、一度車に戻ることにした。特に子供は、水をかぶったように濡れていて、麦わら帽子まで汗が染みだしていた。自分で帽子を取って、頭がびしょびしょだ、とというように髪の毛をきゅっと引っ張るようなジェスチャーをして、また両手でつばをぎゅっとつかんで、かぶりなおしている様子がいじらしかった。

おでかけやおんものときには、帽子をかぶるものだと信じていて、自分から脱いでも、またきちんとかぶりなおす。

 

車で水分補給をして、今度は遊具のところへ行った。いつもなら、自由に使っていいボールがあるけれど、お盆のせいか、置いていなかったので少しがっかりした。

子供はボールを蹴ったり、投げたりできるようになっていて、ボールが特に好きなのだ。

また、管理人が休みのせいか、草が、子供の背丈ほどにも伸びていて、「普段は管理人さんがこまめに刈っているんだね、大変な仕事だ」と話し合った。

 

プールが目の前にあり、子供は、フェンスをつかんでじっと立っていた。

親子連れが、男の子に泳ぎを教えていた。「すごいじゃないか、よくできているよ」と男性がその子をほめると「オリンピック目指せる?」と女性が言った。「それはたいへんだから考えたほうがいいな」と言って男性が言い、三人とも笑って、息子はまたバタ足をしていた。

プールのほうから吹く風はひんやりしていて、とてもさわやかだった。

子供は、ひたすら真剣な顔をして、プールを見つめていた。

「来年か、再来年か、それくらいしたら入れるかねえ」

「そうだねえ」

「明日、保育園でプールは入れるからね」

と話しかけても、子供はプールに夢中で無反応だった。

きりがないので、抱っこして運んだら、急斜面で降りると身をよじらせ、自分で登ろうとして、やっぱり難しかったので、また抱っこして遊具に連れて行った。

子供は、滑り台が大のお気に入りで、見つけるとさっと飛んで行った。

 

少し前までは、補助をしないと滑ることも難しかったのに、低いローラー滑り台なら、一人で登って降りれるようになった。

 

体重が軽すぎて、ローラー滑り台が動かないので、背中を押してやると、進んだ。でも、それもだんだん自分で工夫して、滑り台のふちをつかんで、自分で滑れるようになっていった。滑るときには、口を開けて、目を細めていた。

どんな感じだろうと思って、自分も子供の後を滑ってみた。そうすると、子供が、さも愉快そうに、後ろを振り返って、けらけら笑っていた。

下に吸い込まれるような感じで、わたしもキャーキャー言いながら滑った。

すると、子供はもう一度一緒に滑りたいと期待するように見たので、もう一度一緒に滑った。

 

他の家族が来たので、今度は、大きい滑り台へ移った。この滑り台は、アスレチックがついていて、それを抜けないと滑れない。

ロープで編んだネットの上につり橋があって、そこを渡っていく。

子供は緊張した面持ちで、網に足をついて、木をまたいで、慎重に進んだ。後ろから、夫がついて行って、支えたり、励ましたりしていた。

 

すでに一時間近く遊んでいたので、子供はふらふらしかかっていた。だから、二、三回滑ったらやめようと相談していたけれど、子供は滑るとさっと登って行ってしまう。

今度こそ最後にしようね、といって、夫は膝の上に子供を乗せて一緒に滑り降りた。子供はものすごくうれしそうな顔をしていた。

そして、そのまま抱きかかえて、連れ去っていった。子供にとってはだまし討ちだったので、少し抵抗していたけれど、自分でも帰るころだとわかっていたのか、おとなしく連れ去られていった。

 

ドライブスルーでハッピーセットや、スパイシービーフを買って帰って食べた。