自分にお金を使った考察

お金は使うことで意味が出る。

十代二十代は本にお金をかけてた。勉強とか。

二十代終わりにいろいろ壊れてしまって、振り切れて、それまでむだだと思ってたこと（むだだといわれていたこと）にお金を使った。

わたしは、自分の見た目にコンプレックスがあった。容貌というよりも、服装。

それが、社会から押し付けられた抑圧だからそれに従う必要もないということも言えるんだけど、単に、毎日みじめで仕方がなかったからそれを何とかしたかった。

着飾らなくても、ＴＰＯにあった服装は必要だ。あと、普通に着飾りたい。そういう社会で育っているから、そういう価値観はあるし、そういう価値観に沿って生きる部分も必要だ。なんでもかんでも、理論に合わせることなんてできないし、その理論が実践に耐えるかどうかわからないし、実践に耐えなくて人生が取り返しがつかなくなっても、理論提唱者は責任を取らない。

使ってよかったことの一つでパーソナル診断がある。特に買い物同行。これで買い物に慣れることができた。
買い物するだけで泣きそうになるほどびびりだし、服装に関する常識もないので、ダサいっていうか、ＴＰＯが分かってない状況だったのが、なんとかいくらかましになれたのは、人に聞けたことと、人に聞くためにお金を払ったからだと思う。おしゃれかというと別ってかダサいままなんだけど、人をぎょっとさせないようになったんじゃないかと思う。
今は、アドバイス通りには買わないんだけど。それは自分の好みとか、似合わないけど着たい服とかあるから。ある程度消化できたのかも。

パーソナル診断を受けてから、いろいろ改善した。色とか形に縛りができたので、選びやすくなった。

それに、自分にお金をかけることで、人生の悲しみとみじめのどん底が、やや底くらいになって、ややましに、人生に希望を持てるようになったタイミングで、今の伴侶と出会ったし。まあ、出会ったとき、彼はわたしの容姿を知らなかったんだけど。
自分に手をかけてたことで、自己肯定感があがって、対人能力が改善したと思う。対人は、メンタルと体調が悪いと余計悪くなる。
エステに行ったりマッサージに行ったりした。今思うとかけすぎだけど。貯めろよって思う。別のことに使ったほうがバランスよかった。けど、そういうバランスを考えられないのが、「具合が悪い」って状態だから仕方がないのかも。
それで、自分の身体感覚を取り戻したと思う。痛み以外で認識できるようになった。

何を着ていいかわからず、自分が不格好なのがいやだった頃、買い物同行を頼めたのはよかった。
「あー、試着して買わないってありなんだな」「こういう風に店員さんに頼めばいいんだな」「こういう風にやめますって伝えるんだな」と思った。
買い物もそうだけど、会話パターンを必死で観察して覚えた。やり取りの仕方のモデルの構築。模範解答じゃないんだけど、相手の顔のこの辺をなんとなく見ながら、固まってないで何か言う。「これ試着してみたいんですけど」「もうちょっと違うの見てもいいですか？」「着てみたら思ってた感じと違っていたのでやめときます、かわいいんだけど」「ありがとうございました」「またきますね」とか。
買い物同行で絶対に似合わないものが分かった。それから、古着屋さんでいろいろ着て買って練習した。ので、今は普通のお店で着る前にある程度想像ついてから着られるようになった。

それまでは、店員さんと会話ができなすぎて、卑屈な買い物をしてた。
今は、最初に用件をいって、こういうものがほしいけど、いろいろみてから決めたい、と言ってから見繕ってもらう。
最初にすぐは買えないけど、って言ってから試着すると精神的に楽。あと雑談もする。
「化粧下地を探しているんですけど、今日、化粧下地の説明を聞いて、パッチテストみたいなのしてから後日買いに来るみたいなのしてもいいですか？」「もちろんです」みたいなやり取りをして、説明きいて、塗ってもらって、ありがとうございましたーって。

てか、雑談しない、試着しないなら店舗で買う意味がない。引きこもりだからネットショッピングをしすぎたけど、ネットショッピングはマジでよくない。どうしても手に入らないものは仕方がないけど、届くまでタイムラグがあるから、その間に別のほしいものが出たり、検索してもっといいのを探している間に、これもほしいってなる。目にしているとどうしても、無意識に「これは自分の」って思っちゃうから。

店舗で買うと、アドバイスしてもらえるし、買ったものにいい思い出ができて、着るときに明るいイメージがつく。あと、物質として触れるから、「これ、家に置く場所あるかな」って現実的に考えやすい。

そういう意味で、「こうしたい」と思ったことを、現実にすることで、むしろそのギャップと折り合いがついた。トライアンドエラーができたので満足した。

これで年取ってから「あのときああしてれば」って後悔しなくて済む。