わたしは速く飛ぶ鳥だ
今日は普通の日記を書く。
朝起きて、熱があった。
ちょっとだるい。
台所の皿が乾いてたのでしまってからトーストしようと思うが、お皿をしまうのがどうにもしんどいので代わってもらった。
代わりに子供の服を着せる。
子供はへうへう泣いていて、具合でも悪いのかと熱を測ったが平熱だった。
お茶を飲ませるとごくごく飲む。
お腹が空いていたらしい。
昨日はトーストも牛乳も一口しか食べなかったのに今日は一枚の半分以上も食べる。
食後、試しにヨーグルトを出したらそれも食べた。もう一人でスプーンを使える。
名残惜しそうに、微かに残ったヨーグルトを掬ってはなめていたのがかわいくて笑ってしまった。
起きたのが遅かったので、そのあとの鼻吸いも薬を飲ませるのも遅くなってしまった。
どちらも、のけぞって、体を捻って、手を口にやって、脚で蹴って逃れようとするので二人がかりだ。
なんとかそれを済ませて、園に連れていくと、「ばばぁい」と手を振って、園庭に遊びにいってしまう。
とてとて歩いていって、あっという間に見えなくなる。
必要なものをそれぞれしまって、もう一度窓から覗くと、階段をのぼりおりしている。
いつも、滑り台を眺めていたり、水を撒いてるところへいってみたり、小さな山に上ってみたり、いろいろ一人で遊んでいる。やっぱり自分の興味が出てきている。
暑い暑いといいながら家に帰って、掃除や片付け、洗濯を終わらせると、あとはすることがない。
したいことはあっても、ちょっと胸がドキドキしてしまって、不安な記憶が次々思い出される。
不穏だなと思って薬を飲む。
ぼんやりしていると十時になり十一時になる。
虚しい、悲しいな、と思っている。そして、外に出てご飯を食べようということになった。
フードコートでジャンクフードを美味しく食べて、カフェにいってスムージーをゆっくり飲む。
涼しいけど暑いね、と言ってまた家に帰る。
新しく買ったノートパソコンをセットアップしたり、データを移行したりする。
小説を書いて、どこかに応募してみたいなぁと思う。
でも誰かに審査されるのは怖いとも思う。
今日もなにも書けなかったな、と思いながら、子供を連れ合いと二人で迎えにいく。
車のおもちゃを持ったまま、走って来る子供が愛しい。
おむつを回収すると、子供は泣く。
先生に1日の話を聞く。ご飯もおつゆも食べられましたよ、と言われて安心する。くるまにはまってました。お誕生日会では、ぱちぱちお歌に合わせて拍手できました、と言われて、子供の頭をよしよしなでる。
家に帰って食事をして、炊き込みご飯とかつおのたたき、キャベツスープを三人で食べる。
子供は炊き込みご飯を三杯も食べた。
本当に偉いねと二人で誉めた。
わたしが寝そべってスマホをしていると、スマホを奪って腕の中に入り込んでくる。
風呂あがりの子供はスイカと牛乳みたいなにおいがする。
シールはりをせがまれたので二人で一時間ほどして、ネットフリックスの手遊び歌を流して、二人で踊ったり歌ったりする。
時々、その合間に、わたしは筋トレしたり、スマホをだらだら見たりする。
子供はテレビを見ながらおやつをせがんだり、足にシールを貼ってみたり、おもちゃをしゃぶったりする。
だっこをすると、温かくて柔らかい。
誰が誰を間違っているといっていても、そんなことはわからない。
エイリアンみたいな存在だと自分のことを感じる。鏡に映る姿は怪物みたいに思う。
でも、この子は温かくて柔らかい。
ぶったりけったりされながらわたしはこの子を愛しいと思う。
ときどき嵐のように心が乱れるけれど、わたしはその嵐をまっすぐに横切って、なるべく早く逃げ出そうとする。
わたしは速く飛ぶ鳥だ。
嵐があっても、誰よりも安全な空を目指して旅をする。